ダウニーJKの香り

会社員の会社員による誰のためにもならないくそ日記

愛おしい


シネリーブル池袋にて沖田修一『横道世之介』を鑑賞。
感想はとにかく「愛おしい」、160分の長尺に関らず全く時間の長さを感じることがなくもっとこの世界に浸っていたいと思う心地のいい映画だった。

多用される長回しにおいてもそこに映る景色や人物すべてが贅沢に画面に収められていて見ていて自然と幸福感に包まれてくる。

ストーリーに大きな起伏はなくゆっくりと時間が流れる、小沢健二の「天使たちのシーン」を聴いているときの感覚に似ている。にぎやかな場所でかかり続ける音楽に僕はずっと耳を傾けている。

風呂場での世之介と倉持の会話、公園で世之介とスイカを食べる加藤、世之介の真似をしてハンバーガーにかぶりつく祥子、どのシーンも贅沢な時間を感じることができた。

劇場内は半数ほどしか席が埋まっていなかったが自然と笑いが溢れ幸福感に酔いしれていたように感じる、劇場から降りるエレベーターのなかは幸せに溢れた人々がひしめき合う異空間だった。皆が口々に「良かったね」と言い合い笑顔に包まれていた。

すべてが愛おしい、この映画を劇場で見られて本当に良かった。